■第23回大会(博多大会)報告 |
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大会実行委員長:三枝孝司
日本基礎造形学会第23回大会が、福岡市東区の九州産業大学において開催されましたことをご報告致します。今大会のテーマは「技術と基礎造形:伝統から革新へ」でした。
平成24年9月1日(土)に、九州産業大学2号館を会場として12時30分より開会式を行い、13時より博多織り職人・重要無形文化財保持者(人間国宝)の小川規三郎(おがわきさぶろう)先生による基調講演T「職人の魅力ある人間づくり」を開催いたしました。小川先生は博多の伝統工芸である博多織りの職人でありながら博多織り教育にも力を注がれ、多くの後継者を育成しています。博多織りの歴史や技術、織文様等と基礎造形の根源となる職人の人間形成についてご講演いただきました。
続いて14時10分より、自動演奏オルガン制作・修理の第一人者である松本尚登(まつもとひさと)先生による基調講演U「自動オルガンの構造と造形美」を開催いたしました。自動オルガンの歴史や仕組みについてスライド資料や実物の部品等によりご説明いただき、その後、持参された自動オルガンにブック(オルガンの曲のプログラム)を使用し演奏していただきました。また、希望者にも演奏を体験させていただき、手回しハンドルから作り出される圧縮空気の感覚を感じることができました。十分に自動オルガンの魅力を、堪能することができました。
15時20分より特別展示ギャラリートークとして福岡県立大学副学長の森山沾一(もりやませんいち)先生による「世界記憶遺産 山本作兵衛の炭坑記録画について」をご講演いただきました。スライドにより山本作兵衛の炭坑 記録画と記録文について当時の九州・田川における炭坑文化や風土のお話しを交え、世界に例のない資料的価値とプリミティブな造形美についてご説明いただきました。
その後、場所を美術館と円形ギヤラリーに移し、ギャラリートークを行ないました。なお、作品展は、8月30日(木)から9月2日(日)まで開催し、特別展示として小川規三郎先生の博多織り作品と世界記憶遺産 山本作兵衛の炭坑記録画を展示し、多くの方々にご観覧いただきました。
作品展の出品点数は国内から37点、韓国基礎造形学会から136点の作品を得て、国内の作品を美術館に展示し、円形ギヤラリーに韓国の作品を展示しました。ギャラリートークは九州造形短期大学の前田信明先生の司会で行われ、会員の個々の基礎造形に関する考え方を形にした作品について活発な発表と質疑応答が行われました。韓国からは、元会長の趙 烈(チョ・ヨル)先生が代表としてご参加いただき韓国の作品についてご説明いただきました。
18時より会場をクラブハウスに移し、懇親会を開催し、カラオケにより会員皆様の親睦を深め、その後もゆっくりとご歓談いただき、それぞれ学会や造形・教育についての談義を交わすことが出来たと思います。
翌9月2日(日)は、9時40分から2号館3階にて、A室、B室、C室、D室の4室に分かれて口頭発表がありました。A室の座長は有田信夫先生、B室の座長は星加民雄先生、C室の座長は常見美紀子先生、D室の座長は織田芳人先生の進行で計21件の活発な発表が行われました。
昼食を挟んで午後13時30分より総会が開かれ、合わせて表彰式が行なわれ、庄子晃子先生に功労賞が贈られました。
今大会の参加者は57名(その内一般の参加者は2名)と多くの会員のご参加をいただき、活気のある大会になったと思っております。心より御礼申し上げます。また、準備には万全を期したつもりでしたが、様々なところで皆様にご迷惑やご不便をお掛けしたことをお詫び申し上げます。皆様のご協力のもと無事終了できた大会でした。誠にありがとうございました。
ギャラリートーク(屋外会場)
■博多大会実行委員:
大会実行委員長:三枝孝司(九州産業大学)
大会事務局長:チョンスンヒョク(九州産業大学)、森下慎也(九州造形短期大学)
大会会計:金尾勁(九州産業大学)
実行委員:前田信明(九州造形短期大学)、栗田融(九州産業大学)、岡本明久(九州産業大学)
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