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■新しい年度のはじめに

会長:後藤雅宣

新緑の候、会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
さて本学会運営体制も、現スタッフでの最終年度を迎えました。来年度からは全く新しい体制のもとで、研究団体としての更なる発展へと向かうものと期待しますが、そうした意味でも、今年度は粗漏のない引継ぎを心掛けるべく、さまざまな案件を整理する年ということになります。理事の皆様、会員の皆様のお力を頂戴しながら、学会運営に専心する所存です。どうかご協力のほど、これまでにも増してよろしくお願い申し上げます。
学会としての組織発足からこの夏で早26 年、美術やデザインに関する基礎研究をその基軸に据えながら、表現すること自体の学術的意義を推重しつつ展開されてきた本学会では、他の研究組織には見られないようなさまざまな研究が発表され、その成果が蓄積されてきました。それらに誘起されながら、会員相互に新しい研究の視点が提供され、造形活動に関わる多種多様な研究へと広がりを見せてきました。この間会員は、平等にそれぞれ20 余歳年を取り、思えば運営役員の顔ぶれも、会員の顔ぶれも、ずいぶんと変わりました。また、研究発表大会会場も日本全国を一巡し、今後は新天地での開催がなかなか難しくなりそうでもあります。こうした状況に目を向けるにつけ、この組織がその歴史の節目の時期にあるという事実を受け入れざるをえません。その意味でも、歴々の会長そして運営に携わられた方々が築き上げられた学術組織としての姿や意味を、造形に関わる研究者・制作者の会員の皆様に歪み無く継承していただくことの重要性をひしひしと感じております。他方、研究活動を取り巻く状況は、
社会的にも、また各人それぞれのフィールドに於いても、大きな変容を呈してきているものと観察できます。そのため既存の多くの学会も、その運営に苦慮されているのもまた事実です。ブロードバンドの時代の到来、その急速な進化は、目的を同じくする者の情報交換の姿を一変させてきました。自身の研究活動・制作活動のための情報は、わざわざ集わずとも享受できる、そんな時代に入ってきています。こうした状況の中で、組織としての規模は、他の多くの学会がそうであるように、急速な拡大という方向には残念ながら向かってきておりません。しかしながら、本学会が堅持してきた、研究成果としての作品を前にしての独創的な研究発表形式をはじめとする情報交換の姿は、
web からは到底得ることのできない貴重な策励となって、会員相互の美術・デザインに関わる研究心を高め合ってきたものと確信しています。
さて今年は、はじめて秋田の地において研究発表大会が行われます。実行委員会の皆様には、それぞれお忙しいところご奮励いただいているものとお察しいたします。東北でのこの大会が、本学会の更なる興隆の節目となりますことを祈りながら、皆様とともに研究発表の準備を整えていきたいものと存じます。
会員の皆様の、研究成果のご披露を心待ちにしながら、2016 年度をスタートさせたいと存じます。
皆様方の諸研究の、益々のご進展を心よりご期待申し上げます。

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