■第25回大会(名古屋大会)報告 |
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大会実行委員:小川直茂
2014年9月6日(土)と7日(日)の2日間にわたり、名古屋市昭和区の名古屋工業大学において日本基礎造形学会第25回大会が開催されましたことをご報告いたします。今大会では「ひと,自然,環境,造形」を大会テーマとして掲げました。大会の会員参加は50名、口頭発表は13件、作品発表は157件(国内30件、海外127件)でした。
大会1日目の9月6日(土)、名古屋工業大学23号館において12時30分より開会式を行い、13時より愛知産業大学学長の堀越哲美先生による基調講演を開催いたしました。堀越先生は、研究者として「環境デザイン」という概念をいち早く打ち出し、五感に基づく人間まわりから都市までの環境づくりを領域横断的に研究しておられます。基調講演においても、これまで取り組んだ様々な環境デザインプロジェクトを紹介しながら、人・自然と造形との関係や、住まいと暮らしの環境における造形要素など、環境デザインにまつわる幅広い内容についてご講演いただきました。
基調講演の終了後、場所を講堂へと移し、2点の特別展示ギャラリートークを開催いたしました。
愛知認定ブランド企業のひとつであり、手づくりのゼンマイ式置き時計を制作販売されているナルセ時計の創業者、成瀬拓郎氏には、氏の最新作である「新・和時計」をご紹介いただきました。「不定時法(時刻を刻む間隔が一定でない時刻法)」の時計として文字盤の数字を動かす機構を備えており、およそ20枚の歯車が連動して文字盤の表情が刻々と変わる様はとても美しく、独創的なものでした。
もう1点は、名古屋工業大学ソーラーカー部の皆さんが制作されたソーラーカーです。太陽電池を搭載する車体上部は「1枚の板にまっすぐな切り込みを入れてより合わせる」ことで平面素材を立体形状とするユニークな試みがなされており、造形における「基礎」を探求する日本基礎造形学会大会の特別展示にふさわしい内容であったと考えています。
その後、同会場において作品発表者によるギャラリートークが行われました。森竹巳先生の司会のもと、発表者の皆様より制作の意図や作品表現における様々な試みについてお話しいただき、活発な意見交換が交わされました。なお、作品展は9月5日(金)から7日(日)まで開催され、会員以外にも多くの方々にご観覧いただきました。
17時30分より、大学会館において懇親会を開催いたしました。キャッスルプラザ洋食料理長の鈴木雅彦氏には、高さ1mの氷柱による氷彫刻のライブ制作をご披露いただきました。見事な金鯱の彫刻が出来上がっていく様子をご覧いただき、会場の皆様も大いにお楽しみいただけたのではないでしょうか。その他、カラオケや生演奏、メイキングムービーの上映など、ささやかな余興ばかりではございましたが、皆様のあたたかい拍手や歓声に支えられ、終始和やかな時を設けることができたように思います。
大会2日目の9月7日(日)、9時40分より2室に分かれて口頭発表が行われました。荒井俊也先生、久保村里正先生、古賀和博先生が座長として進行を務める中、基礎造形に関わる様々な研究成果が発表され、発表者と参加者との間で活発な質疑応答が行われました。
口頭発表終了後、昼食を挟んで13時30分より総会と表彰式が行われました。総会では三枝孝司先生の議事進行のもと、各種審議と報告がつつがなく執り行われました。表彰式では石松丈佳先生が研究奨励賞、石野眞先生が功労賞を受賞され、盛大な拍手が送られました。総会では来年開催される2015年アジア基礎造形連合学会・成田大会の進捗状況についても報告があり、来年の大会に向けて大きく期待を膨らませながら、閉会となりました。
エクスカーションは大会開催に先立ち9月5日(金)に行われ、13名の方にご参加いただきました。趣のある「あつた蓬莱軒本店」でのひつまぶし会食や、自然豊かな熱田神宮の境内散策など、名古屋名物や名所を思い思いにご堪能いただけたのではないかと思います。
大会運営にあたっては至らぬ点も多々あったことと思われますが、皆様のご協力・ご支援のもと、無事大会を終了することができました。紙面をもちまして厚く御礼申し上げます。
■大会実行委員メンバー(五十音順、敬称略)
石松丈佳(名古屋工業大学大学院)、小川直茂(岐阜市立女子短期大学)、奥村和則(岐阜市立女子短期大学)、久保村里正(文教大学)、齋藤正人(岐阜聖徳学園大学短期大学部)、寺田勝三(名古屋工業大学大学院)
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