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■2013 韓国基礎造形学会 秋季大会 報告

石松丈佳

2013 韓国基礎造形学会秋季国際学術大会及び国際作品展が、11 月23 日、24 日に忠北大学校(忠清北道清州市興徳区開新洞) において開催されました。日本からは、札幌市立大学名誉教授原田昭先生が 基調講演を講演され、崇城大学星加民雄先生と、私石松が作品展のギャラリートークのご招待を頂き作 品発表をさせて頂く機会を頂きました。
基調講演では、原田昭先生より「文化の収斂と創発異分野横断型教育の開発」と題した講演を拝聴しました。
原田先生によれば、基調講演のテーマである「収斂(convergence)と創発(emergence)」は生物学用語である収斂的進化(convergent evolution)と創発的進化(emergent evolution)を連想させる言 葉であり、前者は、「異種の生物が同一環境にあるために身体的特徴が近似してくること」であり、後 者は「生物進化の過程では全く事前に予測できない形質の出現が生み出される」ことであるとの事でし た。本講演全体を通して、前者よりも後者「創発(emergence)」のもつ異なる要素、分野間の相互作用 による予測不可能なエネルギーの創出、まさに創発の大いなる可能性を感じました。その事例のひとつ として、氏は札幌市立大学の看護とデザインという異分野の連携教育を紹介されました。当初、各分野 間における理解不足等にも見舞われたものの予測できなかった進化も見られ、まさにそれは、創発的進 化(emergent evolution)を連想させるものでした。
ギャラリートークでは、韓国からChung Byongkyu 氏、Oliver Greim 氏、イタリアからMassimo Pellegrinetti 氏、中国からYu Yong 氏、台湾からHsu Akui 氏、日本から星加民雄先生、石松が、ギャラリートークを行いました。作品展のオープニングは、テープカットが行われるなど盛大なものでした。このようなセレモニーにあまり縁のない私には貴重な経験となりました。
展示は、キュートでセクシーなオブジェから、伝統的な陶器等、それぞれの出品者が個性豊かな作品を展示していました。そうしたなか星加先生は、航空会社と周到に協議を重ねられ、機内持ち込み可能な最大サイズを算出し、先生の身長を遥かに超えるような大作をもちこまれ、意欲的な発表をなさっていました。私は、よく言えば繊細、しかしアピール力の弱い作品であることを少なからず懸念しながらの出品でした。しかし、本国韓国の方々はもとより、ギャラリートークで同席したassimo
Pellegrinetti さんのご家族など多くの国々の方々に、大変興味深い様子で鑑賞いただき、大変感動しました。今回の私にとってのギャラリートークの発端は、昨年行われた日本基礎造形学会札幌大会でした。その展示において私の作品を見られたKiheun Shur韓国基礎造形学会会長から懇親会の席でお誘いを頂いたのです。当初はにわかには信じられませんでしたが、後日正式なインビテーションを頂き本当に驚きました。このような機会を与えて頂いたKiheun Shur会長初め韓国基礎造形学会関係各位に心より感謝 申し上げたいと思います。また、北海道教育大学 李知恩先生には、宿泊の案内から始まり、何から何 まで大変お世話になりましたことを最後に申し添えます。


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