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■第16回大会(仙台大会)報告

大会実行委員長:庄子晃子

 日本基礎造形学会第16回大会が、宮城県仙台市にあります東北工業大学と宮城県美術館を会場として行なわれましたことをご報告致します。
 平成17年8月20日(土)に、東北工業大学9号館3階のtohtech MEMORIAL HALLで、13時20分より、基調講演として「仙台の国立工芸指導所のニューデザイン−1928年〜1967年−」をテーマに、仙台が国策としての近代工芸・デザイン研究発祥の地という歴史を築いた土地柄であるという話を筆者がさせていただきました。
 続いて14時より、稲垣行一郎先生をコーディネーターに、シンポジウム「基礎造形教育について」を開催しました。3人のパネラーからそれぞれが所属する大学での教育実践例(荒井俊也先生による東北工業大学1年生対象の「造形演習(平面)の授業内容について」、星加民雄先生による崇城大学2年生対象の「アナログからデジタルに移行する平面構成の授業内容について」、徳山容先生による川崎医療福祉大学3年生対象の「写真を使ったアイディア展開の授業内容について」)が報告されました。いずれも私立大学の事例であることを確認しつつ、基礎造形と基礎造形教育を改めて考える意義ある意見交換会となりました。
 今大会では、仙台市郊外の秋保温泉にあります秋保グランドホテルを懇親会の会場(あわせて宿泊先)として選びました。その一帯は鎌倉御家人の秋保氏の領地だったところで、静御前伝説も残っている歴史ある土地柄です。ホテルは磊磊峡(漱石の弟子ドイツ文学者小宮豊隆が命名)に添って建っておりますので、散歩に出られて渓谷と奇岩の絶景を楽しんだ方もいらっしゃることでしょう。19時30分より、懇親会に入りました。初めに宮城教育大学の学生たちの民俗芸能研究会「びっき」に所属する男子学生1人による岩手県の悠長な「大森御神楽」と女子学生2人による宮城県北部の桃生地域の軽快な「跳ねこ踊り」が披露され、東北の雰囲気を味わっていただきました。来年度の17回大会の開催幹事校である川崎医療福祉大学の3名の先生方が、「瀬戸の花嫁」の熱唱と余興で懇親会を盛り上げて下さいました。中国から本大会に御参加下さった2名のお客のご紹介が松尾光伸先生からあり、アジア基礎造形連合学会の上海大会のお知らせもあって、下に記す韓国からのたくさんの作品での参加も含めて、国内の大会とは言え、さながら国際学会の感も呈しておりました。懇親会場と宿泊先がセットでしたので、ゆっくり宴会を楽しんでいただき、また部屋に戻っては深夜まで学会や造形や教育についての談義を交わすことが出来たのでした。
 翌8月21日(日)は、午前10時から東北工業大学9号館935教室および936教室にて、口頭発表13件の報告がありました。午後13時よりtohtech MEMORIAL HALLで総会が開かれ、合わせて本学会初の表彰式が行なわれました。初代会長の田中健三氏に朝倉賞が、前会長の稲垣行一郎氏に功労賞が贈られました。
 なお、作品展は、8月16日(火)から21日(日)まで、国内から28点、韓国から101点の出品を得て、宮城県美術館地下1階の県民ギャラリーで開催しました。立体と平面を同じ会場に展示し、20日(土)の16時より、ギャラリートークを行ないました。高澤圭一先生の司会で、作者が各自の作品の前に立って順次に発表しましたので、全員で一緒に聞かせていただくことができました。韓国からはパネル作品だけの参加でしたので、作者のお声が聞けなかったのはいささか残念でした。
 本大会の参加者は総勢38名と例年より少なかったのですが、皆様の御協力により、まとまりの良い大会になりました。心より御礼申し上げます。会場の東北工業大学が夏休みを利用しての新1号館の建設と将来必ず来ると言われる宮城県沖地震に備えての補強の工事の真っ最中でしたので、動線が複雑だったり、眼下に見渡せる筈の仙台平野と太平洋が見えにくいなどの不自由さがあって申し訳なく存じている次第です。


作品展会場風景:宮城県立美術館・県民ギャラリー

 
基調講演:庄子晃子先生   シンポジウム

 
ギャラリートーク   ギャラリートーク

 
口頭発表   表彰式:功労賞の稲垣行一郎先生


懇親会:秋谷グランドホテル
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