崇城大学:星加民雄
先月、5月21日に韓国の基礎造形学会があり参加してきました。その時の内容についてご報告させていただきます。
韓国基礎造形学会は創立後7年くらいで会員数が約1200人の大規模な学会に成長し、今では日本デザイン学会のように春と秋の年2回の学会が開催されています。今年は弘益大学校という、韓国の武蔵美と言われる私立の伝統的な美術大学が開催校となりました。前日まで学園祭で盛り上がっており、韓国の大学の学園祭も体感することができました。伝統校だけあって講演会場だけでなく展示会場も非常に充実していました。
初日の開会挨拶のあと、アメリカ、イタリア、日本、台湾、中国の5カ国からの招待者と韓国の代表による基調講演が、それぞれの国の「基礎造形、および基礎造形教育の現状」をテーマにして行われました。日本でも常に問いかけられている、基礎造形とは何かが基調講演の中身でした。講演ではそれぞれの国の代表者に対して通訳が付けられました。
私は「複合領域を横断する基礎造形教育」というタイトルで、日本におけるデザインとファインアートの現状についての私見、基礎造形教育における視点位置をテーマとした横断的発想教育とアナログ、デジタルの横断的教育などの教育現場からの報告、ならびに自分の研究テーマを事例にして、複合領域における基礎造形研究についての研究報告など、約20分間の内容で発表を行いました。また大型作品の展示依頼もあり数点を展示してきました。作品の運搬では苦労しましたが、まずまずの講評を得ることができました。
韓国会員の展示作品数は400点くらいと聞いています。展示スペースの関係で作品サイズは50センチ正方と決まっていますが、人数のパワーとまとまった組織力による活力を感じました。
一方で、日本デザイン学会のように調査研究等の論文や報告、あるいは基礎造形とはあまり関係しない投稿論文も次第に多くなってきており、日本基礎造形学会と比較して、基礎造形に関する論文が少ないことを危惧しているようでした。
日本基礎造形学会からスタートし、韓国基礎造形学会の急速な成長を見ると、日本も頑張らなければと言う気持ちと刺激を受けて帰ってきました。今後も友好を広げていきながら日本基礎造形学会の充実を図らなければいけないと感じております。仙台大会の充実を期待しています。以上報告と感想を述べさせていただきました。
最後になりましたが、韓国基礎造形学会会長の李吉淳先生、そして趙烈先生、また韓国で大変お世話になりました多くの先生方に心より感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
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作品の解説をする星加氏(右) |
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各国の参加者によるオープニングセレモニー |
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