| ■アジア基礎造形連合学会2025広州大会の参加報告 |
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大会報告者:久保村里正
2025年9月20日(土)〜21日(日)、中国・広州の広州美術学院昌岡キャンパス大学会館において、「テクノロジーとデザイン教育の未来」をテーマとしたアジア基礎造形連合学会2025広州大会が開催されました。本大会には、日本、韓国、シンガポール、タイ、中国などアジア各国から180名を超える参加者が集い、AI、デジタル、基礎造形、教育といった多様な観点から活発な議論が交わされました。
日本基礎造形学会からは、石松丈佳会長をはじめ、元会長の村松俊夫先生、理事の李知恩先生、学生会員の張嘉欣さん、そして久保村の計5名が大会前夜19日の交流会から参加しました。
大会初日の20日午前には、開会式および広州美術学院副学長・李勇教授による歓迎の挨拶に続いて、日本・韓国・天津・上海・広州の5地域の学会長によるシンポジウムが行われました。日本からは石松会長が「科学技術と未来と環境デザイン−環境への気づきとしての『環境感知器』」をテーマに講演を行いました。午後からは「人工知能(AI)下におけるデザイン教育」をテーマとしたアジア各地域からの招待講演が行われ、日本からは李先生が「AI時代の美術鑑賞教育に関する研究―日本の小学校における現状と課題を中心に―」というテーマで研究発表を行いました。
また、20日〜21日にかけて作品展示も実施され、日本からは招待作家として村松先生が “A study of tangible Series” を出展しました。20日のプログラム終了後には懇親会が開催され、アジア各国の研究者が交流を深めました。
2日目の21日には、7つの部会に分かれて計54件の口頭発表が行われ、石松先生と久保村が座長・審査員として参加しました。発表者としては、名古屋工業大学博士課程の張嘉欣さんが「環境造形ワークショップにおける使用素材による類型化及びその比較」を発表し、その後の審査会において優秀論文に選出されました。
今回の広州大会は、コロナ禍により中止・延期されていた大会がようやく開催にこぎつけたものであり、昨今の国際情勢の影響を受けながらも、日本および韓国の基礎造形学会からの支援を得て実現しました。大会実行委員長・馮喬先生の尽力はもとより、全体の調整にあたった李先生、大会冊子の編集を担った高橋先生の協力がなければ開催は困難だったでしょう。今回の大会は、アジア基礎造形連合学会が国際的な学術交流と発展に大きく寄与していることを改めて実感させるものとなりました。
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