■長崎大会を終えて |
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会長:後藤雅宣
去る8月24日(土)〜25日(日)、長崎ブリックホールにおいて、第35回日本基礎造形学会研究発表大会が実施されました。長い準備期間を経て大会を成功裏にお導きくださった織田芳人大会実行委員長をはじめ、大会実行委員の皆様方、加えて大会にご参加くださった皆様方には、本会を代表して厚く御礼を申し上げます。
初めて長崎の地で行われた大会でしたが、内容的にもこれまでの慣例的な発表形態からの進展を目指した、様々な試みが組み入れられた大会となりました。
もとより本学会は、造形の基礎に関わる理論研究、実践研究、教育研究から、制作物そのものをも研究対象とする研究組織であり、口頭発表に加えて作品発表という機会を設けた特有性をもってきましたが、昨年の札幌大会に続き、ポスター発表という発表形態の導入を試行した大会でもありました。また、作品発表についても、これまでの平行移動のギャラリートークではなく、各人の興味や研究指向に応じて、制作者と参加者の十分な質疑応答が可能になるよう工夫が施されたものでした。
それに加えて、日本の大会でありますが、アジア各国からの研究の紹介に関しても、作品やポスター形式の発表を積極的に受け入れた大会でもありました。韓国基礎造形学会、台湾基礎造形学会、天津基礎造形研究会から、合計328件の作品発表、18件のポスター形式の研究紹介が行われ、大会参加者それぞれに、研究に関わる貴重な刺激が得られたのではないでしょうか。
さらに本大会では、若手研究者の育成という観点から、これまでの顕彰に加えて、大会での39才以下の学生会員及び正会員による優秀な発表に対して、大会中に「若手研究発表賞」、「同作品発表賞」を授与するという新たな試みも行われました。このこともあってか、例年をはるかに超える18件の若手会員による発表が行われました。
これだけの内容を、2日間という限られた中で完結させることができたのも、学会理事会からの無理難題をお聞き入れくださり、大会をおまとめくださった大会実行委員会の皆様方のお力によるものです。
ご参加いただいた会員の皆様には、さまざまなかたちでの交流を通して、それぞれのご研究に関わる多様な示唆をお持ち帰りいただけたのではないかと思います。
1000万ドルの夜景と称される長崎の夜景を眺めながらの懇親会は、海外からの参加者を含めた全参加者にとって、本大会の印象を深く記憶に刻むことになったことと思います。
来年の日本基礎造形学会研究発表大会は、初めての長崎に続き、初めての四国香川の地で行われます。会員の皆様どうぞ、それぞれのご研究をお進めいただき、その成果を持ち寄って、また元気に再会いたしましょう。
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