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■コロナ禍3回目の大会、第33回福岡大会を終えて

会長:後藤雅宣

 去る8月27日より28日の両日(作品公開25日より)、3年ぶりとなる通常のかたちでの研究発表大会が、福岡の九州産業大学にて行われました。新型コロナ感染症第7波の渦中での大会となりましたが、過去の大会とほぼ同等の参加者数のもとで、2日間にわたり活発な研究発表、会員の交流が実現されたことに、運営を預かる者の一人として安堵の思いを強く抱くものでございます。
 この3年間を振り返りますと、新型のコロナウイルス感染症COVID-19なるものと向き合うことになった2020年では、大会担当となった岐阜の関係者の皆様方の創意工夫のもと、学会史上初めてとなるオンラインでの第31回研究発表大会が手探りの中で執り行われ、翌2021年には、そこでの成功実績をさらに発展させる形で、大会担当となった東北の皆様方のお力によって、第32回研究発表大会が同じくオンラインという方法で行われて、これまで経験したことの無い、それまでとは違った意味での充実感に満ちた時間を共有することができた、そんな2年間でした。
 そして今年、感染症による重篤化が薄らいだとはいえ、第7波の流行が危惧された中で大会の時期を迎えることとなり、大会の実施や方法に関して、学会理事会も、大会実行委員会も、大いに苦悶することになりました。大会一月前にも、また二週間前にも、理事会と実行委員会間で慎重な協議の場を持つという異例ずくめの準備態勢の中で、なんとか対面開催という決断にこぎつけるに至りました。
 決断の背景には、三枝大会実行委員長をはじめとする実行委員会の皆様方の、熱い思いがありました。
 そもそも、理論的研究のみならず作品制作に関わる研究を発表形態として有する本学会では、会員による研究成果を生の作品において了知することに、とても大きな意義があります。もちろん、口頭での発表が直接対面で行われることにも意味があります。過去2年間のオンラインでの開催の意義を踏まえた上で、またその実績の延長上に今年こそはこれまで以上の対面での通常開催を、という思いが、実行委員会の皆様方に強く抱かれていたことを、この間ひしひしと感じさせられてきました。  かくして第33回福岡大会は対面にて挙行される運びになり、3年ぶりの内容の濃い素晴らしい大会が展開されました。大会中の運営は、すべからく微に入り感染症対策が施されたものであり、大会実行委員会のご労苦がいかばかりであったか、察するに余りあります。様々な制約の中、素晴らしい研究発表の場を創出いただきましたこと、本会を代表して、福岡大会実行委員会の皆様方にあらためまして厚く厚く御礼を申し上げるしだいです。
 今般の新型コロナ感染症騒動は、一方では、研究組織における会員相互の発表の意味や意義に関して、冷静に熟考する時間をもたらしてくれたようにも思います。現在、この3年間の様々な体験を生かすべく、理事の皆様方が分担して、本学会の諸規定や運営上の様々な試み、研究発表の形態や対外的な公開対策等々、更なる組織改革に汗をかいてくださっております。
 会員の皆様方には、どうぞ今後の更に進化した本学会の在りようをご期待いただきますとともに、皆様方それぞれの研究成果を発表するに足る意味のある交流の場を、次のステージに向けて、ともに創出してまいりましょう。

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