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■第32回東北大会 報告

□第32回東北大会を振り返って

大会実行委員長:庄子晃子

  今年の大会は、東日本大震災から10年という節目に当たりますので、被災地3県(福島、岩手、宮城)の会員が実行委員を務めさせて頂きました。折しも全国がコロナ禍に見舞われ、また国内各所で集中豪雨が頻発する中、東京2020オリンピックが済みパラリンピックが始まる直前の8月21日(土)と22日(日)の両日に、オンライン方式で東北大会を開催いたしました。
基調講演は、東北工業大学教授大沼正寛先生による「宮城県美術館の現地存続をめぐる市民協働 -その意義と課題-」でした。宮城県民・仙台市民が1981年の美術館の建設以来、その立地や建築空間や展示内容に親しんで来たことが大きなチカラとなりました。
 本大会のテーマは「基礎造形のチカラ」でした。作品発表者・口頭発表者のご発表に参加者一同チカラを頂きました。交流会も、楽しく「基礎造形のチカラ」を共有しました。実行委員も各々の任務に力を発揮して頂きました。
皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

追記:伊藤陽子先生が東日本大震災後に東北コットンプロジェクト(津波の被災地で綿花を栽培し、地中の塩分を吸い上げ、農地を取り戻し、コットンの日本最北端の産地にする)に参加され、仙台市荒浜、名取市耕谷、東松島市で綿花を収穫し作品を作られて、震災後10年の節目のこの大会で作品発表と口頭発表をしていただいたことに感謝いたします。


□第32回東北大会 報告

大会事務局:高橋延昌

 当大会は東北の被災3県の共催で「基礎造形のチカラ」のテーマで開催しました。コロナ禍が続くため昨年の岐阜大会と同様にオンライン方式(遠隔)での開催でしたが、当初の予想を上回るエントリー数もあり、実行委員一同改めて感謝申し上げます。
 大会初日の8月21日は13時より開会式を行い、後藤雅宣学会会長および庄子晃子大会実行委員長よりご挨拶を頂きました。そして13時15分から東北工業大学の大沼正寛先生の基調講演が始まりました。講演の内容は、2019年11月に突然発表された宮城県美術館と宮城県民会館の「移転集約」報道から市民の奔走が始まり、そしてほぼ1年の奮闘を経て結果として現地存続が決まった経緯が主旨でした。また、宮城県美術館の建築構造や環境造形についても専門家としての見地から解説がありました。美術館という地域における芸術活動のシンボルと社会性は、会員にとって考えさせられる点が多く、拝聴された会員からは共感の声が多く寄せられました。



  基調講演の後は、午後3時から作品発表(ギャラリートーク)が実施されました。作品発表の件数は29件があり、制作者本人によるオンライン発表と、実行委員による代読も交えながら行いました。発表の主体はZoomでしたが、オンラインならではの利点を活かしてチャット式アプリ「Comment Screen」を併用するなど、発表に対して活発なご意見(コメントや反応)を各会員から頂くことができました。気軽にコメントや反応を発信できるという点では対面よりも遠隔の方が優れていることもあり、むしろ例年よりも活発に意見交換できたのかもしれません。夜は「オンライン交流会」を企画しましたが、大会参加者の研究室や自宅を繋ぎ、意見交換や近況報告などで楽しいひと時を過ごすことができました。



 大会2日目の8月22日(日)は、9時40分から口頭発表がおこなわれました。口頭発表の件数は13件でしたが、会場を2つに分けました。会場は分かれていましたが、Zoomのブレイクアウトルームを介して会員の仮想空間上の移動はスムーズにおこなわれました。



 大会2日目午後1時30分からの総会では、文教大学の久保村里正先生が議長に選出されて、会計報告、予算案、規定の改正などの審議がつつがなくおこなわれました。総会後の表彰式では、小川直茂先生に研究奨励賞、穂積穀重先生に功労賞が授与されました。そして、最後に画面キャプチャによる記念撮影で2日間にわたった大会は無事に閉幕されました。
 当大会がオンライン形式で無事に終えることができましたが、実は実行委員メンバーは最初から最後までお互いに対面する機会はありませんでした。最初の打ち合わせから実施に至るまでずっとオンラインのみで連携していました。一度も対面しなくても完結できるほど本学会において会員同士の信頼関係は良好で、遠隔だとしても大会運営できるという好事例になったのではないかと思います。最後に、ご参加並びにご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。  

追記:当大会における口頭発表や作品発表の内容については、会報No.112に同封しました東北大会概要集を是非ご覧ください。

[東北大会 実行委員メンバー一覧]
大会実行委員長:庄子晃子(東北工業大学)
講演・概要集:篠原良太(東北工業大学)
口頭発表座長:本村健太(岩手大学)
口頭発表座長:三枝孝司(九州産業大学)
作品発表進行:小松太志(郡山女子大学短期大学部)
作品発表進行:葉山亮三(会津大学短期大学部)
Zoomホスト:永山雅大(岩手県工業技術センター)
事務局:高橋延昌(会津大学短期大学部)



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