■第32回大会を終えて |
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会長:後藤雅宣
新型コロナ感染症に翻弄され続けて2年目の大会となりました。作品制作をも研究対象とする本学会にとって、リモートでの研究発表は痛手というべきかもしれませんが、昨年の岐阜大会に続き、大会実行委員会の方々の周到なご準備のもと、通常開催とはまた違った濃密な時間を、参加の会員の皆様と共有できた充実感に満たされた大会でした。
東北の震災から10年が経ち、力強く復興する東北の姿を皆で確認し合いたいという思いは、現地に赴かざるものの、2日間の充実した時間の流れの中で、叶えられたように感じました。
宮城大学、東北工業大学、会津大学、秋田公立美術大学に続き、2回目の東北工業大学を開催地としての東北大会でしたが、これまでの東北での5つの大会、とくに被災県での情景が瞼に浮かび、不思議な感覚を覚えました。このリモートでの大会に参加できた会員の心は、あの時確実に東北にあったように思います。
宮城県美術館に関する第一日目の大沼正寛先生のご講演では、これまで漫然と訪れていたこの美術館を、深く知り、感じ取ることができ、美術館の存在の意味を再考させられました。また29名による作品発表は、実際の作品を五感では鑑賞できなかったわけですが、ギャラリートークによって出品会員の作品に込められた思いや研究成果を、通常開催よりもむしろ、きっちりと聞き入ることができたように感じました。良い刺激を互いに与えあうことのできた内容の濃いものでした。
第2日目の13名による口頭での研究発表もまた、発表者と聴講者の至近感がむしろ増長され、内容をしっかりと掴み取ることができたように思います。通常大会同様、複数室に分かれての発表はやむを得ないところですが、じっくりとすべての発表を聴講してみたいと強く感じさせられる、そんな充実した時間だったと思います。
庄子晃子大会実行委員長、高橋延昌事務局長をはじめとして、この大会の実現のために、万全なご準備と運営をいただいた小松委員、三枝委員、篠原委員、永山委員、葉山委員、本村委員には、全会員になり替わりまして、厚く御礼を申し上げるしだいです。
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