■「ゆるやかなネットワーク」でありたい −年頭と退任のご挨拶− |
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会長:村松俊夫
年頭にあたり謹んでご挨拶申し上げます。会員各位がそれぞれに、様々な思いを胸に新年を迎えられたことと存じます。本年が皆様と学会にとって新たな希望の年となりますことをこころより祈念申し上げます。
早いもので、日本基礎造形学会の会長を2期4年務めさせていただきました。非才・微力ながら理事や会員の皆様のお力添えによって、何とか大過無く終えることができそうです。誠にありがとうございました。
退任の折の常套句 “大過”はありませんでしたが、海外から新型コロナウイルス感染症という予想もだにしなかった『大禍』が押し寄せてきました。日本は今、このような世界的感染症や地球規模の自然災害、またAI、IoT、Society5.0社会の進展などにより、私たちを取り巻く環境が劇的に変化し、将来の予測が一層困難な状況を目の当たりにしております。
このように社会全体が加速度的に変容・流動化していく時代には、スキルや知識は常にアップデートが要求されます。ですが、どれほど優秀な人間でも、1人で全てに対応し続けることはできません。そこでこれまで以上に大切になってくるのが、「誰とつながっているか」、「どれだけ支援し合えるネットワークを持っているか」ということだと思います。
ある意味で、家族や親しい友人、日ごろから交流のある職場の同僚などは、「強固なネットワーク」といえます。家族や気心の知れた友人とのつながりは、何よりも安心することができ、自身の精神の安定に役立ちます。その反面、共通の価値観や環境が根底にあるために、毎回同じような情報に接しやすく、新しい刺激は受けにくいと考えられます。それに比べ、会う機会やコミュニケーション量が少ないのが「ゆるやかなネットワーク」です。
例えば、学術団体の会員同士は、家族や職場の同僚のように毎日コミュニケーションを取ることはめったにありません。これからの時代、重要になるのがこの「ゆるやかなネットワーク」ではないでしょうか? 「ゆるやかなネットワーク」では、毎日接し続けている周囲の人間よりも違う価値観に触れることができ、予想もしなかった気づきや異なった角度からの視点を得られるからです。日本基礎造形学会も新鮮な驚きや思いがけない発見のある、良い意味での「ゆるやかなネットワーク」であり続けたいと思います。
さて、本学会では昨年執行部の選挙が行われ、令和3〜4年度の新会長・新理事が決定いたしました。この4月より後藤雅宣会長のもと、新たな体制での活動が開始されます。現事務局長の久保村里正先生、会計担当の石美男先生、理事の先生方、また会員各位の皆様、学会運営へのご協力、まことにありがとうございました。心から感謝申し上げます。
今年の大会は、コロナ禍の中、東日本大震災から10年の節目ということで、東北3県の共同開催によるリモート大会が予定されています。昨年の岐阜大会の成功をもとに、さらに充実した大会になることでしょう。実行委員を担当される先生方には期待をしております。
最後に、日本基礎造形学会の活動を一層活性化させるため、会員の皆様のより一層のお力添えを賜りますようお願い申し上げ、退任のご挨拶といたします。
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