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■第31回岐阜大会 報告

大会実行委員長:奥村和則

 日本基礎造形学会第31回岐阜大会が2020年9月5日(土)・6日(日)の2日間、岐阜市立女子短期大学を中継拠点とし、オンライン形式にて開催されました。擬似体験となりますが、少しでも岐阜の魅力や文化に触れてもらうため、学生が制作した岐阜市のプロモーションビデオでお出迎えをさせていただきました。
 大会初日の9月5日(土)は12時30分より開会式を行い、村松俊夫会長よりご挨拶をいただきました。そして12時45分から「伝統の担い手」の大会テーマのもと、有澤悠河氏の基調講演が始まりました。
 まず講演の前半では、ご自身の生い立ちから、著書に収録された創作物を中心にご紹介いただき、そのアレンジ方法についてもご説明いただきました。そして紙への拘りが手漉き和紙へ到達し、ご自身で漉くという現在に至るまでの、若き「伝統の担い手」となった、その経緯を語っていただきました。
 一方で、感覚や感性の積み重ねによる暗黙知で制作されているかのような作品群も「折りたためる展開図の法則」や折り紙シミュレーションソフトの活用など、図学や設計/機械工学に通じる考察も示され「既存の折り紙の折り方に領域を付加する」という考え方は大変新鮮に映りました。まさに手探りによる試行錯誤と図面による理論が、実践と理論を行き来する本学会に符合し、本講演が基礎造形と深く関わるものであると再認識いたしました。
 講演後半では、有澤氏の代表作のひとつである金魚を作成するワークショップをオンラインにて行い、有澤氏も参加者の状況を随時確認しながら、また、オンライン配信に適したペースで説明、解説していただきました。そのご配慮のおかげで、多くの方が時間内に完成できました。使用した和紙は有澤氏が所属する「美濃手漉き和紙工房 Corsoyard」の手漉きしたもので、完成時に美しくなるよう色柄も施されていました。



 休憩を挟んで、15時00分から作品発表を実施しました。今回は30名の会員が作品発表に参加され、制作者本人によるオンライン発表に加え、岐阜聖徳学園大学短期大学部の齋藤正人先生による代読での作品発表を行いました。従来のギャラリートークでは、会場にて活発な質疑応答が展開されるところですが、本大会では急遽、オンラインに切り替わったことや参加者のネットワーク環境が不透明だったことから、作品発表にも説明テキストをお願いしました。幾重のトラブルシミュレーションを行った結果とはいえ、参加者の皆さんに例年にはないご負担をお願いしたこと、また例年のような意見交換ができなかったことをお詫び申し上げます。
 懇親会は、非公式プログラムながら「Zoom懇親会」を行いました。中村学園大学短期大学部の古賀和博先生の進行のもとで、大会参加者の研究室や自宅を繋ぎ、作品発表会で行えなかった意見交換や近況報告なども楽しく行われました。新型コロナの下、大人数での会食が制限されておりますが、オンラインならではの懇親会となり、旧知の親交を深める良い会となりました。



 大会2日目の9月6日(日)は、9時40分から口頭発表を行いました。名古屋工業大学の石松丈佳先生に座長および運営をご担当いただき8組の発表が行われました。ワークショップの実践報告、造形教育に関する研究等に加え、コロナ影響下における取り組みなど時代に即した研究発表がなされ、活発な質疑応答が展開されました。
 午後は13時30分から総会を行いました。総会では名古屋工業大学の寺田勝三先生を議長に選出し、会計監査報告、予算案、規定の改正などの審議が行われました。総会後の表彰式では、九州産業大学短期大学部の森下慎也先生に研究奨励賞が授与されました。そして来年度大会は、高橋延昌先生より東北3県(岩手・宮城・福島)の共同にて、震災復興メモリアル大会とすることが報告され、学会大会の継続と新しい実施方法の模索に期待を膨らませながら閉会となりました。



 今大会の参加者は、44名(会員42名、学生会員2名)で、研究発表は作品発表30名、口頭発表8組でした。大会運営にあたって、初めてのオンラインでの学会大会であったため、至らぬ点や見苦しい点も多々あったと思いますが、ご容赦いただきまして、次のオンライン大会へ申し送り、協力できればと考えております。  皆様のご協力、ご支援のおかげで無事終了することができました。またコロナ禍が終息した際には、是非、岐阜の地に足をお運びいただき、岐阜の文化等をご覧ください。心からお待ち申し上げます。

■本大会実行委員(敬称略)
大会実行委員長:奥村和則(岐阜市立女子短期大学)
大会実行事務局長 小川直茂(岐阜市立女子短期大学)
大会会計:齋藤正人(岐阜聖徳学園大学短期大学部)
実行委員:
石松丈佳(名古屋工業大学)
古賀和博(中村学園大学短期大学部)
坂本牧葉(岐阜市立女子短期大学)
寺田勝三(名古屋工業大学)
(五十音順・敬称略)



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