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■初めての「オンライン学会」に臨んで・・・

会長:村松俊夫

 9月5日(土)と9月6日(日)の2日間、本学会初めてのオンラインによる岐阜大会が、実行委員会の綿密な計画と準備のもとに開催されました。大会は、メイン会場を中心に、全国の会員の皆様とライブ配信(同時双方向)方式で行われました。
 基調講演は、“折り紙王子”こと有澤悠河氏による「作り手と、伝統の担い手」です。氏が自ら漉かれた和紙を使った作品と制作方法が披露され、古来から伝わる日本の伝統文化「おりがみ」が、現代の数理・情報科学の視点から発展し、世界の「ORIGAMI」となった経緯も理解できました。また、「こんなことも折り紙でできるのか」というさらなる可能性への期待を感じさせてくれるご講演でもありました。
 各会員に郵送で事前配布された和紙を使ったオリガミのワークショップでは、氏の丁寧な指導で金魚を制作しました。氏の落ち着いた語り口と豊富な経験に裏付けられた適確な進行で、遠隔ではありましたが、たいへん有意義な時間を会員同士で共有することができました。有澤様、まことにありがとうございました。
 大会は、その後のギャラリートーク、2日目にはZoomによる口頭発表、総会、表彰式、閉会式と滞りなく進み、すべてのスケジュールを無事終了いたしました。また、オプションとして希望者の参加による「オンライン懇親会」もセッティングされ、会員同士の情報交換や懇親の場として楽しいひと時を過ごさせていただきました。大会実行委員長の奥村和則先生、事務局長の小川直茂先生(創立30周年のロゴマークもありがとうございました)、ならびに実行委員会の皆様方、ご参加くださった方々にあらためて心より御礼申し上げます。
 さて、今春からの新型コロナ感染症拡大の影響で、対面を伴わない学会などの開催方法が様々なところで試みられています。それぞれの学会の持ち味、特徴が発揮されるところであります。そこで来年、日本基礎造形学会は、この岐阜大会の成功をもとに、東日本大震災後10年の節目にあたるのに際し、オンラインを基本とした「東北3県(岩手・宮城・福島)の共同開催大会」を実施することにいたしました。詳細については、当該地域の会員と学会理事会・事務局とが協力し、今後計画を立てていくことになります。関係の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 これまで何度も申し上げている通り、コロナ禍の終息はいつになるかわかりません。ここ数年は大きく社会情勢が変化することはないでしょう。このような状況の中、たとえ数歩ずつでも学会としての歩みを止めないこと、不十分を承知したうえでその中での最善を目指すこと、以上のような心構えが大切になってくるのではと思います。
 学会の活動としては、海外の作品展への参加、理事・会長本選挙、学会誌の発行とまだまだ続きます。会員の皆様には、今後とも学会活動へのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 皆様方のご健勝をご祈念申し上げつつ、御礼のご挨拶といたします。

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