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新しい時代の、新しい様式。

会長:村松俊夫

  皆様、新型コロナウイルス感染症対策緊急事態宣言の期間をいかがお過ごしされたでしょうか?あえて触れませんでしたが、前号の会報巻頭言を執筆していた時点で、すでに日本でもクルーズ船の乗員乗客の感染確認が報じられ、感染拡大が始まっていました。今や世界は100年に一度といわれる、かつて誰も経験したことのない時代へと突入しています。現在、欧州や米国では感染者の減少が伝えられ、日本でも昨日(5月26日)全国の緊急事態宣言が全面的に解除されましたが、インドやブラジルでは感染の拡大が報じられています。
 ところで、この影響で学校現場では、小・中・高・大学に至るまで、政府のテコ入れもあり授業の急速なオンライン化が進んでいます。当方も慣れない中で試行錯誤してきました。その中で気が付いた点があります。例えば、大教室での多くの学生による授業の場合、どうしても自分の意見と他人の意見がぶつかるのを恐れ、発言を躊躇する雰囲気がありました。ところがオンライン授業でなら、引っ込み思案になりがちな学生からも積極的な姿勢を引き出せるようになります。このように、たとえ音声と映像だけでも、学生と直接かつ同時に相互コミュニケーションが取れるのは大きな利点です。
 しかしながらオンライン授業ですと、感覚的な言い方ですが、臨場感や空気感に欠けた、別の言い方をすると奥行きや厚みのない、薄っぺらな印象になってしまいがちです。講義ではそれほど問題にはならないかもしれませんが、実材を使い、その操作や扱い方を実践的に習得していく実技・実習では、なんとも歯がゆい感じがしています。それはつまり、身体性を基盤に置く人間の“性(さが)”とでもいうのでしょう。今回の“コロナ禍”によって、人と人との接触を計画的に、かつ積極的に回避する“新しい生活様式”が生まれつつあります。逆にそのような社会が台頭する時代だからこそ、 “人間同士の生のふれあいの尊さ”がより際立ってきたような気がします。
 さて、岐阜大会の開催方針についてご連絡いたします。感染拡大のリスクを回避する観点から、開催日時はそのままで、「WEB開催」とすることが理事会で決まりました。9月になってもコロナが終息することは難しく、延期をしてもその時点における再流行の危険性などが懸念されるからです。今年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の舞台である岐阜で、皆様とお会いするのを楽しみにしていましたがたいへん残念です。対面での大会ではなくなりますが、基調講演やワークショップ、また作品発表(ギャラリートーク)も予定されております。詳細については、大会実行委員長 奥村和則先生のご報告をお読みください。これまでにない“新しい大会開催形式”です。必ずや会員の皆様の記憶に残る大会となることでしょう。オンラインですので、遠路・近隣は関係ありません。2020年度日本基礎造形学会岐阜(WEB)大会への多くのご参加を心よりお待ちしております。

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